福本清三先生引退？！初主演映画「太秦ライムライト」奥さんも応援

日本の時代劇に無くてはならない存在。

それは主演俳優のように目立つことなく、視聴者の目に映るのはほんの一瞬の「斬られ役」。

切られ役の存在如何で、主演俳優のかっこよさが際立つのだ。

斬られた回数5万回の名斬られ役

俳優人生を半世紀も続け、今までに斬られた回数はなんと5万回という、「日本一の斬られ役」として名高い福本清三（ふくもと せいぞう）氏が71歳にして初めて映画の主演を務める映画が話題になっている。

その映画は「太秦ライムライト」。

チャップリンの名作「ライムライト」を下敷きに、時代劇人気が衰え、衰退している京都太秦の時代劇俳優を主役とし、若い新人女優との交流を描く作品で、作品のテーマは、ズバリ「世代交代」。

太秦の栄枯盛衰をずっと目にしてきた福本氏だからこそ出せるリアリティがこの作品の見所だ。

すでにTV版は放映されており、6月からは京都市などの映画館で上映が始まる。

実はハリウッド出演経験もある

福本清三氏は16歳の時に東映に入り、ずっと時代劇役者として活動を続けてきた。

身の軽さからスタントを中心に行うものの、時代劇がテレビへとその活躍の場を移すにつれ、「斬られ役」としての才能が開花。

銭形平次や水戸黄門、暴れん坊将軍などという数々のヒット作で斬られ続けてきた福本清三氏だが、実は、ハリウッド出演の経験もあるのだ。

トム・クルーズ主演の「ラストサムライ」で、トム・クルーズの警護役として寡黙なサムライを演じた。

セリフがないながらも、存在感ある出で立ちはさながら現代の「ラストサムライ」と話題を集めた。

生涯現役が目標

そんな福本清三氏が主役に大抜擢された「太秦ライムライト」。

当の本人は「主役なんてありえへん」と何度も断ったというが、監督たちの熱意に押される形で、今回俳優の世代交代を見事に演じている。

時代劇の衰退が題材となるのも皮肉な話だが、それを目の当たりにしてきた福本氏だからこそ、チャップリンの名作を元にしたこの映画が、日本人にもすっと理解できるものとして心に入ってくるのだと思う。

生涯現役を目指すという福本清三氏。

時代劇は日本人の心を表しているものだから、今後もテレビで「斬られ役」福本清三の立派な仕事ぶりを見続けたい。